JICA BLUE Academy 2期 実施レポート:21名のJICA海外協力隊経験者が社会起業家への一歩を踏み出した3ヶ月
2026.01.27|お知らせ レポート
JICA海外協力隊起業支援プロジェクト「JICA BLUE」(以下、BLUE)は、昨年度から始まった第1期に続き、2025年8月26日から11月15日までの約3ヶ月間、社会起業家育成伴走プログラム「JICA BLUE Academy」の第2期を実施しました。
本レポートでは、21名のJICA海外協力隊経験者が自身の経験を活かして社会課題の解決を目指すビジネスプランを磨き上げていった様子と、プログラムを通じて得られた成果について報告します。

JICA BLUE Academyとは
JICA BLUE Academyは、JICA海外協力隊経験者が途上国での活動を通じて培ったアントレプレナーシップと現地での知見や経験を、社会起業という形で社会に還元することを支援するプログラムです。
参加者は約3ヶ月間にわたり、運営事務局である株式会社ボーダレス・ジャパンのソーシャルビジネス立ち上げメソッドである社会課題を深掘るためのフレームワークとビジネスモデルを検討するためのフレームワークの2種類を活用しながら、解決したい社会課題に対する具体的なビジネスプランを作り上げていきます。専門家による講義、現役社会起業家からの学び、メンターによる伴走支援を組み合わせた濃密なプログラムが特徴です。

プログラム開始前の参加者21名の想い
参加者21名の全員がそれぞれの練り上げたビジネスプランを持って、約3ヶ月間のプログラムを完走しました。仕事や日常生活と並行しながら、毎週の講義、ヒアリングやプランのブラッシュアップに取り組み続けることは決して簡単なことではありませんが、それでも全員が走り切れたのは、「JICA海外協力隊での経験を社会に還元したい」という共通するそれぞれの強い想いがあったからこそです。
参加者の派遣国は、アフリカ地域が最も多く15名、アジア・大洋州地域4名、中南米地域3名と多岐にわたりました。2期ではアフリカ地域を重点地域としていましたが、日本国内の課題に取り組む参加者も含まれ、まさにJICA海外協力隊経験者らしい多様な参加者の皆さんと歩んだ3ヶ月間でした。
プログラム内容について
プログラムは、世界中にいる参加者を考慮してオンライン講義を中心に、リアルも交えたハイブリッド形式のキックオフ・中間発表会・最終発表会(スタートピッチ)を組み合わせて実施されました。
8月26日:キックオフ@東京
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8月26日、東京でのキックオフから2期生の挑戦が始まりました。これから3ヶ月間共に挑戦する仲間とのチームビルディングと、ソーシャルビジネスの基礎を集中的に学ぶ1日となりました。
1日の講義の後、現地とオンラインに分かれて交流会を開催。キックオフの緊張がほどけ、仲間との交流を行い、これからの3ヶ月に向けて想いを深める時間を過ごしました。
<キックオフ後の参加者の声>
・社会課題に向き合うとは?を考え直す良いきっかけとなりました。
・ソーシャルコンセプトが明確に固まっていない状態で、自分の仮説のみでやりたいことと結びつけていたので、もしかしたら他の解決方法、もっと効果的に解決できる仕組みもあるのかもしれないと講義を聞いて考えさせられました。
・皆様色々なフィールドで活躍していてそのような方々と勉強できることを嬉しく思いました!

9月1日~:オンラインプログラムがスタート
キックオフ後、毎週月曜日のオンライン講義がスタートしました。解決したい社会課題の解像度を上げ、本質的な課題を見つけていくヒアリングの手法やソーシャルビジネスの事例などを段階的に学びながら、自身のSCを磨き上げていきました。
講義と講義の間には、参加者同士がチームに分かれて行う「バディミーティング」と呼ばれるブラッシュアップの場を設けました。3人1チームに分かれ、互いにフィードバックし合う文化が自然と生まれ、同期の絆が深まるきっかけとなりました。
また、事務局による進捗や悩みポイントを共有・解消する事務局面談や、実践的なフィードバックをもらうコーチミーティング・最前線でビジネスを実践していらっしゃる起業家や専門家等のメンターとのブラッシュアップ会を通じて、受講者自身の課題に対しても向き合っていきました。
10月4日:中間発表会
10月4日には中間発表を実施。21名全員がSCとアイデア段階のBCを発表し、メンターや先輩起業家からフィードバックやアイデアをもらいました。

メンター・参加者の立場は関係なく「社会を良くする同志である」という共通の想いの中でプログラムは進みます。メンターからは、発表者のプランに対する温かいコメントと、実践者だからこそ見える視点でのクリティカルなフィードバックが寄せられました。
10月6日~:プログラム後半戦がスタート
中間発表後は、ビジネスプランの精度をより高めていくため、限界利益計算、PR・プロモーション戦略、収支計画作成など、より具体的なビジネス設計を学びました。
伴走しているメンターは、ビジネスプランへのフィードバックだけでなく、プログラム前半に作成した社会課題を深掘りするフレームワークに立ち返るような問いかけを行ってくれます。
「このビジネスモデルで本当にこの社会課題が解決できるのか?」
「もっとこうした方が本質的なソーシャルビジネスになるのではないか?」
「このビジネスにはもっとこんな展開ができる可能性があると思う」
ソーシャルビジネスならではの、ただ「稼ぐ」だけではないビジネスプランニング。プランを何度も見直しては仲間やメンターと壁打ちをする中で、徐々にプランを磨き上げていきます。
最終発表会(スタートピッチ)

約3ヶ月間の集大成として、最終発表会を現地(東京)とオンラインのハイブリッド形式で開催しました。プログラム期間中伴走してくださったメンターとJICA BLUE Academy 1期生が見守る中、2期生21名による熱い想いの伝わるスタートピッチが行われました。
発表後には、それぞれのメンターから温かな応援と、ここから始まるからこその厳しい指摘のコメントが寄せられました。「プログラムを終えることが目標ではなく、ここからが本当のスタート」という言葉に、2期生はここからよりスピードを上げて社会課題解決に取り組んでいこうと決意を新たにしました。
参加者が取り組んだ社会課題の一例
・セネガルの漁業に従事する女性の貧困問題
・サモアの障害者雇用問題
・貧困により夢を諦めざる負えないグアテマラの子どもたち
・行き渋りや不登校のお子さんを持つ母親の孤立
・病気や障がいのある子どもたちの体験格差
・ザンビアのストリートキッズの雇用創出
・マラウイのHIV陽性者の差別解消と雇用創出
・マダガスカルの受刑者や元受刑者の現金収入向上
・竹林による被害 等
<スタートピッチ参加者の声>
・このプログラムを通じて、「この事業を本気で社会に広げていく覚悟が自分にあるのか」という問いに向き合い続けることが、最も大きな学びとなりました。
・参加前は曖昧だった事業案が具体化したことで、当初の形での実現が難しいことも分かりましたが、その過程で別の可能性を見出し、前向きに前進することができました。
・参加前は課題だと捉えていたものが、それだけでは課題の認識として不十分であると腹落ちすることができ、より人々と想いを共有することのできる社会課題・対象者を見つけることができました。
今後の展望
JICA BLUE Academy 2期を通じて、JICA海外協力隊経験者が持つ社会課題解決への熱い想いと実行力を改めて事務局一同感じていました。途上国の現場で培った「アントレプレナーシップ」は、社会起業において何よりも原動力になります。
JICA BLUE Academy 1期生・2期生の5名がピッチ登壇したJICA BLUE CARAVAN @TOKYOの記事も是非ご覧ください。https://blue.jica.go.jp/information/post-863/