【イベントレポート】強みを活かし続けた先にあった社会起業という道/JICAスタートアップハブ名古屋

2024.06.13イベント レポート

2024年6月1日と2日に愛知・名古屋にある「なごのキャンパス」にて、JICAスタートアップハブを開設しました。このイベントは、JICA海外協力隊起業支援プロジェクト「BLUE」の一環で行われたもので、会期中はトークイベントやポスター展示、起業相談会を実施しました。

今回は、「自分の決断を正解にしていくー協力隊OVが起業にチャレンジした理由」をテーマにJICA海外協力隊を経て起業という道を選んだ保志弘幸氏と東恵理子氏のトークセッションを開催しました。本記事では、その様子をお届けします。

「強み」と「資産」をかけ合わせ、行動を続けていった先に見つけた起業

初日には、静岡県藤枝市で「むかし田舎体験 水車村」を営む保志弘幸氏のトークセッションを行いました。帰国後、最初は起業を考えておらず、派遣前の職場に復職をしながら地元の地域発展に根ざしたボランティア活動をしたと話す保志氏。とにかく行動し続けた先に今の活動があるとお話されていました。

海外協力隊では、村落開発員(現コミュニティ開発)としてマラウイへ派遣されていた保志氏。その時の経験が、現在の空き家を活用した体験宿泊業を営むきっかけになったそうです。

「毎日がキャンプ生活のようで、”ない”ところから始まるのが基本。だからこそ、視点を切りかえて違う角度からものごとを見ることや物事の捉え方を工夫することなど、視野を広げることが大事なことだと気付けた。」

日本のようにモノが溢れた社会とは異なり、ないところから始まるのが当たり前な世界。対局な環境での生活を経験したからこそ、地方で課題となっている「空き家」も、視点をかえて見ると「大事な資産」なのだといいます。

地元の持ちうる資産(空き家×自然×水車)を活かして、週末にボランティア活動などをしながら地元へ還元できる取り組みを続けていると「空き家は使うことが一番、週末だけではなく平日も活用していけるように、空き家活用を仕事にしよう。」という気持ちがきっかけとなり起業に至ったそうです。

「地元に根ざした活動を目的としていた、むかし田舎体験も「体験の場」としての側面だけでなく集まった仲間のアイデアを形にしていくことで活用方法の幅が広がり、土地との関係人口が増えていきました。これからは、「自己実現の場」としてももっと活用していきたいです。」

実際に、学生インターンの受け入れや長期的に地域おこしを担うプロジェクトメンバーの受け入れなども積極的に行っていると言います。古き良きものや自然豊かな環境を活かしながら、自己実現の場として有機野菜を育てたり、サウナを運営したりと、コミュニティを盛り上げる工夫をしています。

自分の想いや熱量を自分らしく形にする中で見つけた起業という道。五感を使った体験を届ける彼自身も、五感を使って温度感を伝えながら、多くの人を巻き込んで今の活動を紡いできたことが来場者に伝わるトークセッションでした。

「田舎を諦めない!」思いと行動が起業に繋がった

2日目は、故郷の岐阜県瑞浪市でクラフトビールを通して地域の魅力を全国に発信する株式会社東美濃ビアワークスの東恵理子氏のトークセッションを開催しました。

ファーストキャリアは、地方の放送局で報道記者やディレクターとして活動していた東氏。その後、海外協力隊としてバングラデシュに派遣され、日本とバングラデシュを繋ぐラジオ番組をつくる活動をしていました。現地の食生活を起因とした生活習慣病の課題を知り、改善のためのラジオ体操「チョルチョル 体操」を制作。現地の方と共にラジオ体操の普及に勤しんだ経験を通して、様々な気付きがあったそうです。

「社会問題をニュースやラジオで伝えるということを中心に活動をしてきたが、伝えるだけでは変わらない現状がある。人を巻き込むコンテンツを作り、普及させることが必要であり、それが自分のやっていきたいことかもしれない。」と語ります。

帰国後は、何もないと思って一度は離れた地元岐阜県の人口減少が続く課題を知り、「誰もやらないことを自分がやってみてもいいのではないか、田舎を諦めたくない。」という思いから大好きなビールをツールに、地域を活性化するカマドブリュワリーを設立しました。

大好きなビール、ビールがつくる人と繋がる力、ビール×〇〇(文化)のように、掛け算をすることでより多くの人を巻き込むことができ、持続的に地域が盛り上がる仕組みを形成しているそうです。

実際に、カマドブリュワリーのビールは、商品名に方言を使ったり、ラベルデザインに地元の文化を取り入れたりすることで、その土地への誇りを老若男女みんなが楽しむことができます。

現在では、地域を超えて交流人口が増え、移住者の増加にも繋がっているようです。空き家を活用したゲストハウスやカフェがオープンするその土地に参加者全員が関心を寄せていました。

自分の「決断」を正解にするということ

言葉も文化も異なる途上国での経験は、日本や地元を異なる角度からみるきっかけになったと語るお二人。実体験をもとに想いを形にしつづけてきたエピソード、熱が伝わり、巻き込みの渦をどんどんを大きくされていると感じるセッションでした。

来場者の皆さんからは、

「どのような思いで今の事業をしているのか、暮らしを仕事にする上でのやりがいや苦労が聞けたのが自分の興味関心も相まって、すごく学びがあった。」

「起業の経緯を知ることができ、現在の事業につながるストーリーをお聞きできたことが参考になった。」

などの声が寄せられました。

出張スタートアップハブの最終回は7月に大阪で開催

5月に福岡、6月に名古屋と出張スタートアップハブを開催してきましたが、最後のイベントは7月に大阪で開催します。会場では起業相談も受け付けておりますので、取り組んでみたいテーマやちょっと興味がある、という方はぜひ相談員にお声掛け下さい。一般参加も大歓迎ですので、ぜひご家族やご友人と一緒に来場下さい!

詳細はこちら→【7/6-7開催】JICA BLUE スタートアップハブ交流会@大阪 | Peatix

JICA BLUEは、協力隊の経験を活かし、想いに向けて一歩を踏み出す人を応援するために生まれました。「起業に興味がある」「ちょっと話を聞いてみたい」「こんなことを考えているがどのようにしたら良いかアドバイスがほしい」など、少しでも関心がありましたら、お気軽にご相談下さい。

海外協力隊OVに
起業という選択を