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「アフリカと日本を近くに。」企業とヒトを繋ぎアフリカの社会課題解決に貢献する

2024.04.26 海外起業

日本とアフリカ諸国の多様な連携を生み出し、新たなソーシャルビジネス創出をサポートする 株式会社AXCEL AFRICA 代表取締役 横山裕司

アフリカのケニアで3つの事業を展開するAXCEL AFRICA

日系企業のアフリカ進出をサポートするコンサルティング事業、企業・現地スタートアップ・個人に対してアフリカにおける事業アイデアや新規ビジネスの検証・ブラッシュアップを提供する研修プログラム、アフリカに挑戦する日本人へネットワークを提供するコミュニティ事業の3つを柱とし、アフリカで社会課題解決型ビジネスに挑戦する「企業」と「ヒト」を繋ぐハブとしての役割を担っている。

2013年にJICA海外協力隊でケニアに派遣され、帰国後現地で起業し、日本とアフリカ諸国の人々の強いつながりを確立させるための活動を続ける代表の横山裕司さんに話を聞いた。

無力感を抱きながらも
「自分にできること」を模索した2年間

大学時代からバックパッカーとして途上国を訪れてボランティアを行っていた横山さん。現地を知り、より現場に入り込むための手段としてJICA海外協力隊に応募した。

「大学2年生の秋まではパスポートも持っていないほど、海外と全然接点がありませんでした。ビジネスへの思いがあり、大学は経営学部に入学して起業家の支援を行うようなサークルに所属していましたが、ビジネス色が強い活動に嫌気がさした反動で国際協力にたどり着きました。

大学3年生の時にケニア、ウガンダ、ルワンダ、タンザニアをボランティアで訪れ、「いつかアフリカに帰って来よう」という思いがあり、社会人になって海外協力隊としてケニアに戻ってきました。

派遣されたマクエニという場所は、水道もない田舎の町でした。そこで活動していく中で感じたのは強い無力感でした。社会人としてある程度ビジネスの力は付けたつもりだったけど、自分は一体何ができるんだろうと最初の半年間はもがいていました。」

田舎でも英語を流暢に話す人が多い中で、自分の語学力に自信が持てず、現地の言葉もあいさつ程度しかわからないため会話にも付いていけない。資金が潤沢なわけでもない…。

そんな自分に何の貢献ができるのか。

最初は強い無力感を抱いていたという横山さんだったが、2年間の活動を通して気づいたことがあったという。

自分にできることをしっかりやっていこうと思いました。海外協力隊で来る人は現地のために何かしたいという思いが強い。でも、自分ができることは結構ちっぽけなもの自分のスキルは提供するし、ケニアの人たちができることはケニアの人にやってもらう。そういう助け合いでプロジェクトを作っていくことが大切だと感じました。」

もの作りを通して学んだフラットな関係性の大切さ

任期中の活動が帰国後の事業につながった横山さん。任期中に現地の伝統工芸品のモノ作りのサポートを行ったことで、マーケティングや販売の経験を培い、任期終了後に本格的にビジネスをスタートさせた。

悩んだのは作り手への『伝え方』だったという。

「伝え方を工夫しないと作り手を混乱させてしまうことがあります。単にこういうものを作ってくださいとオーダーしてもその通りにはなりません。例えば、サイザルという素材でかごバッグを作るとき、作り手は下から上に編んでいきます。だけど僕たちが上から色の指定をしてしまうと作り手が混乱してしまう。そこで、下が白で上が緑のバスケットを作ってくださいと言うと伝わるようになりました。色のバリエーションを増やしたいときも絵を描いて発注するなど工夫しました。

作る過程で、ものすごく細い糸が必要になったとき、市場に出回っていないので『なんとか作ってほしい』といろんな人にお願いしましたが、『こんなに細いものは作れない』と断られました。だから、最終的に僕がそれを作れるようになって、目の前で披露すると彼女らのプライドが燃え上がって「私も作れる!」ってなるんです。

何かやる時には、まず自分ができるようにならないといけないと感じました。こうしてほしいと伝えるだけではなくて、物事を進めるには一緒にやってみることのが大切なんだと思いました。」

作られた伝統工芸品を販売するため、日本の商業施設でもポップアップを開催し商品の認知や売れ行きを伸ばした。バッグを作っている人たちのストーリーを届けることで差別化も意識した。

「現地の人たちは日本人を受け入れてくれますが、短い期間で帰るということを知っています。ケニアで事業を始めたときも、『あなたの事業には興味があるけど、どうせすぐ帰っちゃうんでしょ』と言われたこともあります。でも、『僕は絶対いるよ。』と言って根を張ってやってきました。

ここまで年数を重ねるとケニアの人から『もうほぼケニア人だよね』とか『仲間(Part of us)』『ファミリー』と言われます。ケニアという社会やコミュニティに受け入れてもらっているのは嬉しいし、まだまだ頑張っていこうという原動力になっています。」

お金儲けだけのビジネスではなく、
アフリカの社会課題を解決するビジネスを応援したい

日系企業がアフリカ市場に進出する際の支援をワンストップで提供するAXCEL AFRICAは、アフリカの社会課題を解決するビジネスを応援するという理念を持つ。

「社会課題は多岐にわたります。何か特定の分野にフォーカスしているわけではなく、僕らがカバーできてない部分もまだまだあります。社会課題=ニーズでもあるので、しっかり見極めた上で企業の強みを活かしてどの分野で勝負しようかということを常に我々は考えています。」

『アフリカの水を飲むとアフリカに帰る』という言葉があるように、アフリカには不思議な魅力があり、一度魅力に取り憑かれるとアフリカと関わっていたくなると語る横山さん。

AXCEL AFRICAが目指すのは、日本とアフリカをより多方面から繋ぐエコシステムを作るという強い想いだ。

「僕は日本とアフリカをもっと近くしたいと思っています。「なにか挑戦したい」「日本に居場所がない」と思っている人は1回アフリカに来たらいいと思っています。日本人がアフリカに来る機会を増やしたいし、何かを感じて日本に帰ってほしい。もしくはアフリカでいろいろやってもいいんじゃないかと思います。

僕らが受けてきた教育はすごくレベルが高いんです。アフリカの、特にケニアの人からするとすごく羨ましがられるくらい良い教育を受けてきている。それをここで活かすというのも1つの手だと思っています。」

若いインターン生も数多く受け入れる横山さんは、提供した機会を自分なりにうまく活かして次のステップに進んでほしいと願う。

「あと20年くらいアフリカにいて、大体50後半か60歳くらいに地元の香川県に帰って地域活性をやりたいと思っています。僕の中では途上国が抱えている課題と今日本の地域が抱えている課題って似通った部分があるので、アフリカでしっかり頑張ってスキルや力が付いたら今度は地元に恩返しがしたいです。」

能力が高く、真面目に働く日本人がアフリカに来て現地の人たちと切磋琢磨することで何か新しいものが作れると信じている。横山さんは多くの人がAXCEL AFRICAを通してアフリカをより近くに感じ、繋がるための基盤を作り続けていく。

海外協力隊OVに
起業という選択を